一般的に信仰とは、お年寄りが一種の精神修養や先祖を敬いつつ、なごやかな楽しみの場を持つために、お寺へ参詣し、ときには団体旅行をすることくらいの認識しか持ち合わせていない人が多いようです。
あるいはまた困った時に、神仏の加護を求めて参詣し、手を合わせ、願をかけ、守り札などを大事にすることが、信仰だと思っている人もあります。
しかし、正しい宗教を信仰する目的は、一人ひとりの人間の生命の救済、つまり、生(しょう)・老(ろう)・病(びょう)・死(し)の四苦や、経済的な苦しみや対人関係の悩みなどを含む、人のいかなる苦難にも打ち勝つ活力を与え、すべての人々に真実の幸福を築かせ、尊い人生を全うするための生き方を教えるところにあります。
したがって正しい宗教の持つ働きは、単なる精神修養や気休めではないのです。正しい信仰は、何よりも人間の全生命の問題と、その生き方、人の幸・不幸にかかわる、実に重大な意義と働きと大きな価値を持っているのだということを知ってください。
日蓮正宗「正しい宗教と信仰」より