人生を台なしにする邪教
❶大学が危険を呼びかけ
近年、全国各地の大学では、学生が危険な宗教団体から悪質な勧誘を受けたという報告が多数寄せられているという。
各大学でもこれを問題視しているようだ。例えば、
「普通の学生サークルを装うカルト宗教団体。ボランティアや国際交流のサークルを名乗って、電話番号を聞かれたり、アンケートに個人情報を記入させたりと、巧妙に加入を迫ってきます。本学でも、キリスト教系と称するカルト宗教に入ってしまい、脱会したときには学業を続けられない精神状態に陥っており、退学せざるを得なかったという例が報告されています」(法政大学ホームページ)
と、正体を隠して近づく怪(あや)しい宗教の手口を紹介している。
また、他大学でも、
「カルト宗教団体に入会してしまうと、マインド・コントロールにより正常な判断ができなくなり、精神的・経済的に多大な被害を受けるばかりでなく、友人や家族をも巻き込み、人間関係を壊すことにもなりかねません」(東京外国語大学ホームページ)
などと、学生に注意喚起を促(うなが)すところが数多くあり、警察に相談をと助言している。
❷注意すべき二教団
そこで、先の事例と直接関係あるとは言えないが今回は、キリスト教を名乗る団体でありながら、異端とされる二つの新宗教に注目してみたい。
一つ目は「世界平和統一家庭連合」。かつては「世界基督教統一神霊協会(統一教会)」と名乗っていたが、名称を変えて今も活動している。近年では「原理研究会(CARP)」などと称し、宗教色を隠して若者を勧誘して、セミナーや合宿に参加させて洗脳するという。同教団の教主・文鮮明は、イエスが霊的に現われ、「神のみ旨(むね)」を完成しなければならない使命があるという啓示を受けたとして、自らをキリストの再臨と位置づけ、独自に聖書を解釈して教義を立てた。
その使命とは、「神様の下の人類一家族世界」を築くこと。世界中の人々が、国や民族・言語・宗教などの壁を越えて、一つの家族のように判り合い、協力し合い、助け合うことをめざす。それには、文鮮明夫妻を「人類の真の父母」と崇(あが)め、その教えをまとめた『原理講論』に従って生活しなければならないと説く。
教団が言う新しい真理も、文鮮明が自らメシアを名乗るために、聖書の内容を改変したものに過ぎず、人類を真に救済する真理ではない。
宗教活動を称して行われている霊感商法も、極めて疑わしいものである。今も「全国 統一教会被害者 家族の会」には相談が後を絶たないようで、この教団が持つ問題の深刻さがうかがえる。
二つ目は、輸血拒否事件で話題となった「ものみの塔聖書冊子協会(エホバの証人)」である。この団体は、従来の聖書に変わる『新世界訳聖書』なるものを作り、神はエホバ(ヤハウェ)だけで、イエスは神の子であるが、神としては認めず崇拝はしない、などの独自の教義解釈を立てる。また、独特な戒律を設け、輸血や献血、国旗敬礼、武道や格闘技、政治参加などを厳しく禁止する。
さらには、子供の躾(しつけ)に体罰を認めていて、インターネット上では、被害に遭った多くの子供が悩みを打ち明けている。
このように、現実の生活に支障をきたす教義のせいで、社会の中で摩擦を生じる事例が見られる。
❸折伏をもって救済を
邪宗教の恐ろしさは、謗法の害毒によって善悪の判断をできなくさせ、気がついた時には信者の貴重な人生を台なしにしていることだ。
こうした邪宗教は、巧(たく)みに宗教色を隠し、「別団体」の看板を立てて活動している。
特に前途ある若者が信仰の正邪を弁(わきま)えず、安易に妄信してしまうことは、絶対に看過できない。被害者を生まないためにも、慈悲の折伏が急がれる。
(大白法 第1009号 令和元年7月16日)